元気新聞

冬に増加する高齢者の入浴中の事故

2019年人口動態統計によると家庭の浴槽内の事故で死亡した方は5,598人。
そのうち9割以上が65歳以上の高齢者で占められており、高齢化の影響で15年前と比べて約2倍も増加しています。
特に11月から4月のあいだで事故が頻発していることから、ヒートショックが大きく関わっていると考えられています。

こんな方は特に注意を

●65歳以上
●入浴前にお酒を飲む
●高血圧や糖尿病、動脈硬化等の持病がある
●熱い風呂を好む
●一番風呂に入ることが多い
●不整脈がある

ヒートショックはなぜ起こる?

急な温度変化により血圧が大きく変動することをヒートショックといいます。
例えば、お風呂に入るため、エアコンの効いた暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へと移動すると、冷気にさらされた体の表面温度は一気に下がります。
すると体温を保とうとして血管が収縮し、血圧は急上昇します。
そのまま熱い湯船につかると、今度は血管が拡張して血圧は急降下します。
「ヒートショックは心臓や血管に大きな負担をかけるため、失神や心筋梗塞、脳梗塞等を起こす引き金となります。
冬場に、浴槽内で失神して溺れてしまうといった事故がよくみられるのはこのためです。

温度差に気をつけてヒートショックを予防

ヒートショックは健康な人でも命に関わる危険がありますが、少し注意を払うだけで防げるものです。
入浴には疲労回復やリラックスできるなどの良い効果がたくさんあります。
ご家族で協力して入浴時のヒートショック対策を行いましょう。

すぐできる入浴時のヒートショック対策

●食事直後や飲酒後の入浴は控える
●入浴は比較的気温が高い日没前の時間帯に
●手足などの心臓に遠いところから順にかけ湯をして湯船に入る
●湯船を出るときに立ちくらみを起こしやすいので、ゆっくり立ち上がる

※万が一に備え、入浴中は時折ご家族に浴室の様子をうかがってもらうといいでしょう。

入浴時以外も注意したいヒートショック

ヒートショックはトイレでも起こる危険があります。
夜や早朝は温度差が大きく、いきむことで血圧がさらに上がってしまうためです。
トイレに行くときは上着を羽織る、トイレ用の小型の暖房器具を設置するなど対策をとりましょう。