無意識のうちに口で呼吸する「口呼吸」になっている人が増えています。
呼吸は本来、鼻でするもの。口呼吸は健康にさまざまな影響を及ぼします。
特に、冬場は乾燥する季節。
この時期の口呼吸は、風邪を引く可能性をいっそう高めてしまいます。
「あいうべ体操」を習慣にして、口呼吸を鼻呼吸に戻しましょう。
口から吸う空気はキケンがいっぱい?!
鼻は呼吸器の一部で、空気中の殺菌やウイルス、大気汚染物質などを取り除く空気清浄機のような機能があり、体内に異物が侵入するのを防いでいます。また、鼻に入った空気を適度に加湿・加温して、のどや肺に乾燥した空気や冷たい空気が入らないようにしています。のどが乾燥すると、のどにある異物侵入のバリア機能が低下、冷たい空気が肺に入ると、体を冷やす要因になります。
一方、口は消化器の一部なので、鼻のような異物侵入のバリア機能はありません。また、口呼吸すると口の中が乾燥してだ液が減り、虫歯や歯周病、口臭の原因になります。
口呼吸の原因は口や舌の筋肉の衰え
口を閉じたり、すぼめたりする口輪筋や、舌を動かす舌筋が衰えると口が開きやすく、口呼吸をまねきます。とくに舌筋が衰えると舌が下がり、口を閉じた状態が維持しにくくなるため、口が自然に開いてきます。
口輪筋や舌筋が衰えるおもな原因は、「加齢」です。また、口をポカンと開けるクセがある人やため息をよくつく人、たばこを吸う人も要注意。口が開いて舌が下がっていることが多く、それが口輪筋や舌筋の低下につながります。
口呼吸を鼻呼吸に戻すためには、口輪筋と舌筋を鍛えることが大切です。
口呼吸の改善に「あいうべ体操」
「あ」「い」「う」「べ」の4つの動作を1セットとして、1日に30セットを目安に行います。
①「あー」と口を大きく開く。
★口が楕円形に開くようにイメージし、のどの奥が見えるまで大きく開く。
②「いー」と口を大きく横に開く。
★前歯がみえて、ほおの筋肉が両耳のわきに寄るぐらい横にグッと大きく開く。
③「うー」と口を強く前に突き出す。
★くちびるをとがらせて、思いっきり前へ突き出す。口の周りの筋肉をしっかり収縮させる。
④「べー」っと舌を突き出して下に伸ばす。
★舌を思いっきり出し、先端まで伸ばす。舌のつけ根が歯にあたって少し刺激を感じるぐらい。
「あいうべ体操」は口輪筋と舌筋を鍛える簡単で効果的なトレーニング。「あ」「い」「う」の口の動作をしたあと、舌を「べ」と出します。「あ」「い」「う」はいずれも口輪筋を鍛える動き。「べ」は舌筋を鍛える動きです。
「あいうべ体操」をつづけていると舌が正しい位置におさまるようになり、口呼吸を鼻呼吸に戻すことができます。