元気新聞



薬という言葉の語源は「苦去り」で、「薬」という文字は「草を用いて病を治し、楽にする」という意味から生じたものだといわれています。 
しかし、「くすり」を反対から読めば「リスク(危険)」となるように、使い方を誤るとクスリ本来の役割を果たすことなく、害になることさえあります。 
正しい薬の知識を覚えておきましょう。



診察の時や薬をお出しするときには、薬について説明をしていますが、わからないことや疑問に思うことがあれば遠慮せずに医師や薬剤師に聞くようにしましょう。 
薬の効果を知って正しく服用するのと、漠然と服用するのとでは、効果にも差があるようです。



水で飲んでも、のどを通って胃袋に入るころには体温によって温まりますから、温度にそれほどこだわる必要はありません。
むしろ、注意したいのは量のほう。コップ1杯の水(150mlほど)で飲みましょう。
多目の水で飲むと、薬が溶けやすく、成分がよく吸収されます。 
なかには、水がなくても飲めることを自慢する人がいますが、もってのほか。 
のどにひっかかって薬が溶け出し、潰瘍ができたケースもあります。



「食前」とは食事の30分くらい前に飲みます。 食欲を増進させるための薬、腸での糖分の吸収をゆっくりにするための薬、吸収を高めたい薬などは、食前の指定が多くあります。 
「食間」は、「食事をしている間に飲む」と勘違いされることもありますが、正しくは食事と食事の間、食後2時間くらいたって、胃が空っぽになったころに飲むということ。 
空腹時に胃酸から胃を守るための薬や食べ物があると、微妙な成分の吸収が妨げられる可能性がある薬などです。 
「食後」は、食べ終わってから30分くらいまでのあいだ。 
薬で胃が荒らされないようにするためと、食べ物といっしょに穏やかに吸収されることを目的としています。 
忙しくて食事ができない時は、ビスケットなどを軽くつまんでもいいでしょう。 



自己判断で薬の量を調節することは厳禁。 
薬は多く飲めばよく効くというものではありません。 
ある量以上では副作用があらわれやすくなり、ある量以下では効き目があらわれません。 
また、服用する人の年齢、体重、症状によっても効き目が違ってきますので、定められた用量を服用しましょう。



似たような症状でも全く違う病気であることがよくあります。 
間違った薬を服用すると病気を悪化させることがあります。 
「この薬はよく効く」に他人にすすめるのは決して親切なことではありません。 
また、同じ症状だからといって、以前もらった薬をそのまま服用するのも考えものです。



症状が軽くなっても、まだ病気が治りきっていないことがあります。 自分の判断だけで服薬を中止せず、医師に相談するようにしましょう。



薬によってケースバイケースですが、飲み忘れに気づいたら、できるだけ早く飲むのが基本。 
次の薬を飲む時間が近いときは1回分、飲むのをやめるか、気づいた時点で飲んでおき、次の時間を遅らせます。 
2回分をおこしやすくなりますので要注意。



カプセルは胃ですぐに溶けるもの、胃で溶けるのに時間がかかるもの、胃では溶けずに腸まで届いた頃に溶けるものなど、いろいろな種類があります。 
効いてほしい場所と時間を設定して作られているのがカプセル剤ですので、そのままの形でのむことが大切です。 
早く効果を得ようとしてカプセルをあけ、中の薬だけを飲む人がたまにいますが、これは厳禁。
腸から吸収させたいのに、胃や食道で吸収され粘膜も傷つけてしまうこともあります。





水が手元にない場合、違う飲み物ですませてしまうこともありますが、薬によっては相性の悪い飲み物もあります。 
また、水よりも薬が溶けるのに時間がかかるものが多く、効き目が半減してしまうことも。 
できるだけ、水で飲むのが望ましいでしょう。

腸で溶けずに胃で溶けてしまい、下剤の効果が低下

作用が増強し、血圧が下がりすぎる

作用を強めたり、副作用がでたりする


2種類以上の薬を併用すると、お互いの作用が弱まったり、強まったりすることや思わぬ副作用が現れることもあります。 
すでに飲んでいる薬がある場合や、他の医療機関からお薬をもらっている場合は必ず申し出てください。