元気新聞


春先は、体の不調を訴える人が多くなります。 
原因には環境や気候の変化による心身の疲れがあげられますが、そんなときこそ、大いに笑いましょう。 
笑いの効用として、免疫力の向上、ストレスの緩和、脳の活性化などが知られています。 
「笑う角には福来る」という格言は、そのまま健康管理にもあてはまります。

笑顔が人を安心させ、人間関係を円滑にすることは誰でも知っています。
大笑いした後、心のモヤモヤが晴れ、悩みや苦しみが軽くなることは多くの人が経験しているでしょう。 
笑いに病気を治す力があることも分かってきました。
そのことを発表して注目されたのがアメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズ氏です。 
回復の難しい重度の膠原病にかかり、発熱と激痛のため動けなくなってしまった彼は、気持ちをプラス思考にして、楽しく笑って過ごせば、体によい影響をもたらすのではないかと考えました。 
そこで治療を受けながら連日、喜劇映画やコメディー番組のビデオなどを見て大笑いするという生活を続けました。 
すると、やがて痛みが薄らぎ、検査値も改善して歩けるようになり、仕事にも復帰できたのです。 
その15年後、今度は心筋梗塞にかかりましたが、再び笑いを中心としたプラス思考の生活を続け、これも克服しました。
この報告が端緒となり研究が進み、現在では笑いには免疫力を高める、ストレスを緩和する、脳を活性化するなど、さまざまな効用があることが裏付けされています。 
そこで、健康づくりの一つとして1日に数回、大いに笑う時間を作るよう心がけてみましょう。 
腹の底からの笑いは、血流促進などの運動効果も期待できます。 
また、一人よりも人と一緒の方が笑いを誘発する可能性が高くなります。 
うまく笑えないという人は、ニッコリするだけでもある程度の「笑い」の効果が期待できるとの報告もあります。 
毎朝、歯磨きをする時などに、鏡に向かって笑顔をつくる練習を繰り返してみましょう。


がんの患者さんに漫才や喜劇を見せて、大笑いしてもらった結果、血液中のナチュラルキラー(NK)細胞が正常化しました(岡山県のすばるクリニック・伊丹仁朗院長の報告)。 NK細胞は免疫細胞の一種で、発生したがん細胞を破壊するなどの働きをします。 つまり、笑いにはがんに対する抵抗力を高め、免疫機能を正常化させる効果があるというわけです。 


コルチゾールはストレスを感じると増えるホルモンです。 関節リウマチの患者さんに落語を聞かせ、大笑いしてもらった結果、血液中のコルチゾールと炎症を悪化させる物質が減少しました(大阪府立健康科学センターの報告)。 これらの実験の結果、笑いにはストレスを緩和する報告する効果があることがわかりました。



脳血管障害の患者さんに落語を聞かせて、大いに笑ってもらった結果、脳の血流が増加し、まず脳が活発に働いていることを示す脳波(β波)が、続いて脳がリラックスしていることを示す(α波)が表れました(群馬中央脳神経外科病院・中島英雄理事長の報告)。 これにより、笑いには脳を活性化する効果とリラックスさせる効果があることが実証されました。